COLUMN
9.182026
車いすがベッドに変身!

「家族で旅行を続けたい」から生まれたフルオーダー車いす
「あんなこといいな、できたらいいな」
そんなご相談、大歓迎です。
今回ご紹介するのは、COM泉屋が以前製作した、今でもとても印象に残っている一台です。
ご相談のきっかけは、お母様が要介護となり、車いすが必要になったことでした。
しかし、ご家族が求めていたのは、単に「移動するための車いす」ではありませんでした。
ご家族が実現したかったこと
ご自宅では、身体を安定させて座ることができ、疲れたときにはゆっくり休めること。
お母様が自分でやりたいことができるテーブルがあること。
そして何より、
「これからもキャンピングカーで、母と一緒にいろいろなところへ旅行したい」
というご希望がありました。
さらに、
・キャンピングカーの中ではベッド状にして、おむつ交換ができること
・おむつ交換の際につかまれる手すりがあること
・ベッドに使う部品を、普段はテーブルとして利用できること
・キャンピングカーで移動するときには、車いすをしっかり固定できること
・右手側にはゴミ箱を取り付けたい
など、生活の中から生まれた具体的なご要望がたくさんありました。
こうなると、一般的な車いすにオプションを追加するだけではなかなか対応できません。
そこで、ご家族と相談しながら図面を描き、直し、部品を探し、実際に試しながら一台の車いすを作っていきました。
一台の車いすが「3つの姿」に
完成した車いすには、大きく3つの使い方があります。
1.ご家庭で使う車いす


普段はティルト&リクライニング機能を備えた車いすとして使用します。
背張り調整機構、テーブル、体幹パッド、足部エレベーティング、足踏みブレーキ、キャリパーブレーキなどを装備。
そして、ご希望だったゴミ箱も搭載しました。
ヘッドレストを外すことで、ご家庭の洗面台に頭を載せ、車いすに座ったまま洗髪できるようにもしています。
2.キャンピングカーで旅行するときの車いす

旅行時にはクッションを変更します。
使用しているクッションは、ベッド用マットを分割して製作したものです。
リクライニングと足部のエレベーティングを組み合わせることで、車いすに乗った状態でも身体を横に近い姿勢まで休ませることができます。
家庭用では背張り調整を利用して身体に合わせた背もたれ形状にしています。
その形状を変更することなく、旅行用クッションを取り付けたときには身体をフラットに近づけられるよう、補助クッションの形状も工夫しました。
3.そして、ベッドへ

さらに専用パーツを取り付けると、車いすそのものがベッド状になります。
左右に専用フレームを連結し、ベッドとして使える幅を確保。
専用の脚も取り付けています。
このサイドパーツには、もうひとつ役割があります。
ベッドで使わないときには、テーブルとして利用できます。
高さもワンタッチで調整できるようにしました。
さらに、おむつ交換の際につかまることのできる専用の手すりも製作しています。
つまり、
車いす → 旅行仕様 → ベッド
へと、同じベースフレームから用途に合わせて姿を変える車いすです。
実際のキャンピングカーで確認する

製作して終わりではありません。
完成した車いすを実際にキャンピングカーへ載せ、車内での安定性も確認しました。
そこで分かったのが、前輪キャスターが動くことで生じる「ぐらつき」でした。
それなら、動かないようにすればいい。
そこで新たに製作したのが、
「フロントキャスターストッパー」

です。
前輪キャスターの動きを抑えることで、車内でのぐらつきを軽減しました。
実際に使う環境で確認してみると、図面の上だけでは分からないことがあります。
作って、試して、問題があれば、また考える。
COM泉屋が大切にしているものづくりのひとつです。
「車いすだから」を理由に、やりたいことを諦めない
この車いすを振り返って、改めて感じることがあります。
最初から「こんな車いすを作ってください」というご相談だったわけではありません。
出発点にあったのは、
「母と、これからもキャンピングカーで旅行したい」
というご家族の思いでした。
その生活を実現するためには、どんな車いすが必要なのか。
そこから一つずつ考えていった結果、家庭では車いすとして使え、旅行では身体を休めることができ、キャンピングカーの中ではベッドにもなる一台が生まれました。
既製品で解決できることもたくさんあります。
でも、既製品だけではどうしても解決できないこともあります。
そんなときは、人が道具に合わせるのではなく、
その人の身体、生活、環境、そして「やりたいこと」に道具を合わせていく。
COM泉屋は、そんなものづくりを続けています。
一人ひとりに、唯一の答えを。
「こんなこと、できるのかな?」
そんなところから、ぜひご相談ください。
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