COLUMN
12.192025
車載用姿勢保持装置の運用に関する現状とお願い

令和7年に、補装具制度において
**「車載用姿勢保持装置」**という項目が新設されました。
この制度改正により、
これまで曖昧だった車での移動時の姿勢保持について、
一定の方にはより明確に支給が可能になった点は、大きな前進だと感じています。
しかし一方で、
制度の運用上、新たな深刻な問題が一部の市町村で発生しています。
現在起きている問題

姿勢保持装置が必要な方の中には、
簡易的な姿勢保持装置では安定して座ることができない方がいます。
そういった方は、
- 車いす
- 日常生活で使用する座位保持装置
として、「座位保持装置」の項目から、個別性の高い姿勢保持装置が支給されています。
そして本来は、
その座位保持装置を車載用(カーシート)としても使用することで、
安全な移動が可能となります。
問題となっている運用
一部の市町村において、
- 「車載用姿勢保持装置の項目しか認めない」
という判断がなされるケースが出てきています。
その結果、
- 本来必要な姿勢保持ができない簡易装置を選ばざるを得ない
- 差額が非常に大きくなり、購入自体を断念する
- 姿勢に合わない装置で無理に座る
といった状況が生まれています。
姿勢が合わないことによるリスク
姿勢が適切でない状態での座位は、
- 側弯の進行
- 内臓の圧迫
- 血流障害
- 疼痛や疲労の増加
など、二次障害を引き起こすリスクがあります。
これは単なる「座り心地」の問題ではなく、
健康と生活の継続性に直結する問題です。
現場での実情
多くの市町村では、
- 姿勢保持の必要性
- 車載用と座位保持装置の違い
- 個別性が高い方には座位保持装置が不可欠であること
をご説明すると、
座位保持装置の項目を用いた対応にご理解をいただいています。
しかし、あと少数の市町村において、
この点が十分に共有されていない状況があります。
本質的な疑問

そもそも姿勢保持装置が必要な方は、
- 通常の椅子では座れない
- 食事用椅子では姿勢保持が認められている
- 車いすでの移動も認められている
にもかかわらず、
「車での移動だけが認められない」
という状態が生じています。
これは、
生活の一部だけが切り取られて制限されている状態ではないでしょうか。
お願い
車での移動も、
生活・通院・通学・社会参加に欠かせない重要な要素です。
簡易的な車載用姿勢保持装置では対応できない方に対しては、
- 座位保持装置の項目を活用し
- 車載用として使用できるカーシートの支給
を認めていただきたく、強くお願い申し上げます。
個々の身体状況に応じた柔軟な判断こそが、
制度の本来の目的に沿うものだと考えています。
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