COLUMN
2.242016
補装具業者の目線で見る、特殊マットの問題提起!
(平成28年2月25日現在 多くの市町村の問題)
今回は日常生活用具の特殊マットについて書かせていただきます。
特殊マットは旭川市では20,160円までが助成の対象で、通常の所得だと9割の助成、低所得だと10割助成されます。
しかし、この20,160円って、現実味がまったくない金額なんです。
(出典:r. nial bradshaw)
【特殊マットの現状は】
現在、フランスベッドさんやパラマウントベッドさんの努力の賜物で、九割九分の方が何とかなっています。
何とかなっているのですが、そこも改善が必要なところが多々ありますが、今回は良しとしましょう。
では残りの1分の方々はどうでしょうか・・・。
まず基本的な知識として、褥瘡(じょくそう)は皆さんご存知と思いますが。血液の流れが悪くなり皮膚や肉が壊死してしまう状態です。場合によっては骨にまで達します。
人によっては体位変換を介助者がしなくては、褥瘡(じょくそう)が出来てしまいます。
介助者が寝る時には、この褥瘡に気をつけなくてはいけないので、定期的に起きて体位変換をすることが必要です。
長い介護生活を考えると現実的ではありません。
では、介助者も休むことが出来て、褥瘡を出来ないようにするにのは・・・。
【褥瘡を回避するための特殊マット】
モルテンから出ている、”オスカー”という自動体位変換機能を備えた除圧マットになります。
価格は194,000円です。 (※体の状態によりますが、10万円弱から耐圧分散が良くできるエアマットがございます。)
助成が20,160円の9割受けられますから、自己負担は175,856円で手に入るんですね。
睡眠を獲得するには間違いなく悪くない値段でしょう。皆さん必要な方は購入なさいます。
では、この値段が払えない方はどうなるのでしょうか・・・。
まさに地獄絵図です。冗談ではなくて、そう見て感じました。
【補装具業者の私が実際経験した出来事・・・】
ここからは実際にあった、とある市の、あるご家族のお話です。
お母さんが体位変換を必要とする方で、旦那さん、娘さんが介助者です。
生活保護で暮らされています。だんなさんは介護に、娘さんはアルバイトで何とか生計を立てていました。
そんな中、体位変換が非常に厳しく、ご家族も疲弊してご家族が、地域圏域の相談支援センターに相談し、そこから弊社に相談が来ました。
ご自宅に伺い、エアマットレスが必要で、無いと褥瘡ができてしまい病院行きになってしまうと言うことを提案しました。
支援センターから事情を踏まえて市役所に打診していただき、かえって来た返信は。
却下
でした。
理由は、日常生活用具の制度で出せる金額はその当時19,600円でしたので、その金額分で出せるものと言うことでした・・・。
後日談を相談支援センターからお聞きしたのですが、お母さんは褥瘡が出来て病院に入院されたそうです。
いまだに腑に落ちていないのですが、なんともひどすぎる出来事でした。
【制度の穴を見つけなくては】
介護保険でレンタルできればいいのですが、まだ介護保険も適応にならない年齢・・・。
ちょうど、補助が受けられない制度の穴に入ってしまッたがためにみんなが大変になってしまいました。
ざっくばらんに医療にお金をかけるのであれば、マットレスにお金をかけるのとどう違うのか・・・。
合理的に考えれば答えは出てきますよね。
【制度の穴に気づき改善を!】
そういった中、そこに気づいた市町村も出てきています! 日常生活用具の欄にエアマット系の項目がある市町村もちらほら!
早く皆さん気づいて! そして、この問題があんまり大きくならないのはそれだけニッチだと言うこと! 誰も彼も使って価値のあるものではないのです。
寝返りを打てる人が、四六時中ベッドが動いていたら逆にありがた迷惑です・・・。
yahooで「日常生活用具、特殊マット」で検索すると10分でこれだけ分かりました。
横浜市 87,000円
仙台市 84,750円
神戸市 102,000円
羽村市 135,000円
広島市 84,000円
箕面市 97,000円
金額がそれぞれ違うのはその時に必要だったマットの値段なのでしょう。
市役所の皆さん、特殊マットのお話が出てきましたら是非前向きなご検討をよろしくお願いいたします。
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